子どもの「歯医者さん怖い 」を笑顔に変える！

～子どもの心に寄り添う女性歯科医からのメッセージ～

こんにちは。西条市のみどり歯科医院です。

日々の診療の中で、子どもたちの歯科治療に対する不安や恐怖と向き合い、その気持ちに寄り添うことの大切さを実感しています。特に印象的だったのは、診療室に入ることすら難しかった4歳の男の子が、半年かけて少しずつ慣れていき、最後には自分から「歯医者さん行こう」と言ってくれるようになったという経験です。

今回は、多くの保護者の方から寄せられる「子供が歯医者を怖がって泣いてしまう」という悩みについて、これまでの経験と、様々な専門家の知見を交えながらお話しさせていただきます。

子どもの歯科恐怖の本質を理解する

子どもの示す恐怖や不安には、私たち大人が想像する以上に深い意味が隠されています。
この気づきは、私自身、長年の診療経験を通じて徐々に得られたものです。

まず、子どもの歯科恐怖には明確な理由があります。口の中は、食べることや呼吸など、生命維持に直結する大切な場所です。そこに見知らぬ人が器具を入れることは、子どもの本能的な警戒心を呼び起こします。

また、現代の子どもたちの特徴として、感覚過敏の傾向が強まっているという指摘があります。実際の診療でも、診療チェアの動きや、水の音、照明の明るさなど、様々な刺激に敏感に反応する子どもが増えていると感じています。これは決して悪いことではありません。むしろ、子どもたちの繊細な感性の表れとして、私たち医療者が理解し、適切に対応していく必要があると考えています。

診療の工夫と子どもたちへの寄り添い方

私たちが最も大切にしているのは、「その子のペース」です。診療室に入ってすぐは治療を始めず、まずはその日のお子さんの様子をゆっくり観察させていただきます。疲れている日もあれば、元気いっぱいの日もあり、その時々の状態に合わせて柔軟に対応することが重要です。

例えば、診療チェアに座ることに強い不安を示すお子さんには、最初は待合室で話をするところから始めます。少し慣れてきたら診療室を見学してもらい、チェアには座らずに様子を見るところから始めていきます。

また、治療中は常に声をかけ、お子さんの表情の変化を見逃さないよう心がけています。
少しでも不安な様子が見られたら、すぐに休憩を取り入れます。「頑張って我慢する」のではなく、「安心して治療を受けられる」環境づくりを心がけているのです。

家庭でできる準備と工夫

歯医者さんへの準備は、実は家庭から始まります。いきなり診療室で初めての体験をするのではなく、少しずつ慣れていくステップを踏むことで、子どもの不安は大きく軽減されます。

例えば、歯医者さんごっこは、とても効果的な準備方法です。ただし、これは単なる遊びではありません。お気に入りのぬいぐるみを患者さん役にして、「お口を開けてみよう」「ライトを当ててみよう」など、実際の診療の要素を少しずつ取り入れていきます。

また、電動歯ブラシの使用も良い練習になります。歯科治療で使用する機械の振動に似た感覚を、家庭で安心して体験できるからです。

年齢別の対応ポイント

子どもの年齢によって、不安の質は大きく異なります。私たちは、それぞれの年齢に特有の心理的特徴を理解し、適切な対応を心がけています。

保護者の方へのアドバイス

最後に、保護者の方々へお伝えしたいことがあります。

お子様が歯医者を怖がることは、決して恥ずかしいことでも、克服すべき弱さでもありません。それは、お子様の繊細な感性の表れであり、むしろ健全な反応とも言えます。大切なのは、その不安に寄り添いながら、少しずつ前に進んでいく姿勢です。たとえ治療に時間がかかったとしても、それは決して遅れではありません。一つ一つの小さな成功体験を積み重ねることで、必ず前に進むことができます。

私たちは、保護者の方々と協力しながら、子どもたちが安心して歯科治療を受けられる環境づくりに努めてまいります。お子様の歯の健康について、どんな些細なことでもご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。